私が中高生だった頃には聞かなかった「起立性調節障害(OD)」。
もしかすると、知らなかっただけで苦しんでた子がいたかも知れません。 特に最近は、小学生〜高校生と幅広い年齢層に渡り、2週間前から・・1年も前から・・「起立性調節障害」で悩まれる子が来院されています。。
人の身体に携わる仕事をしていなかったら到底知らなかったであろう「起立性調節障害」について、自身の経験をもとに考察していきたいと思います。
目次
起立性調節障害とは?
起立性調節障害は、成長期である「小学生高学年〜高校生頃」の思春期に多い症状で、『自律神経の乱れ』が主な原因とされ、血圧が上手く調節出来ないために血液の流れが悪くなります。
『起立性調節障害Support Group』によると、下記の項目にいくつか当てはまると起立性調節障害と診断されるそうです。
起立性調節障害診断の手順起立性調節障害(OD)の診断は、次に掲げるODの11症状のうち3つ以上当てはまり、かつ、ODのサブタイプのいずれかに合致することとなっています。 ①OD症状
②ODのサブタイプ
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その他の原因として、
- ・年齢
- ・急な身長の伸び
- ・性別
- ・ホルモンバランス
- ・ストレス
- ・不規則な生活
- ・遺伝など
があるようです。
不登校の要因
不登校の50〜60%が起立性調節障害とも言われいて、行きたくても行けない状態です。
この「辛さ」は本人にしか分からないので、家族や周囲から『怠けているだけだ!』と思われがちになることが多いので、まずは周囲の理解が重要です。
起立性調節障害は何科に行けばいいの?
上記の項目に当てはまり、症状が1週間以上続くようなら小児科・耳鼻科へ受診して下さい。
学校のテストや受験にも悪影響を及ぼす可能性があるので、早ければ早いに越したことはありません。
自律神経について
「起立性調節障害」と密接に関係している『自律神経』。
身体を活動的にする働きがある「交感神経」と、休ませる働きをする「副交感神経」を合わせて自律神経と言います。
読んで字の如く自律神経は、私たちの意思と無関係で自動的に交互に切り替わり、朝日が昇っている午前中に交感神経が優位になり、日が沈んで夜になる頃には副交感神経が優位になります。
上の図の通り本来、交感神経が優位になる午前中に血圧は上昇しますが、起立性調節障害のように自律神経が乱れると、目が覚めても交感神経が機能しなく、副交感神経が優位のままなので血圧は上昇せずに血液の巡りも悪く”起きたくても起きにくい”状態になってしまいます。
成長期は、筋肉・骨だけでなく神経の発達も不完全で乱れやすい繊細な時期です。
ゆがみとの関係性
自律神経は見えることを知っていますか?
脳や脊髄を中枢として、24個ある背骨の隙間や骨盤から細かく分布し内臓をコントロール(支配)しています。
画像の黄色く見えるのが自律神経です。
参考画像:MSDマニュアル家庭版
脳や脊髄から出ている自律神経は、上図の⭕️のポイントから枝分かれをして「心臓」に分布し、血管を収縮させたり、心拍数を早く・遅くするなどの働きがあります。
⭕️の場所は、
- 頭蓋骨と頚椎の境目(副交感神経)
- 頚椎と胸椎の境目(交感神経)
付近で、
- ・学校&塾&家庭勉強での不規則な姿勢
- ・スマホ&ゲーム&PCの使い過ぎ
で、長時間下を向くような姿勢をしていると、首の本来の前弯のカーブが真っ直ぐに歪む「ストレートネック」になり、頭痛・肩こりなどの症状を引き起こしてしまいます。
スマホ・ゲームのし過ぎが原因?
先日、来院された
- 小学生(男性)
- 診断より3週間ほど経過
- 血圧の薬を服用
- 高校生(男性)
- 発症より半年以上放置
- 病院へは行っていない
2人は、スマホ・ゲームを1日に3〜5時間され、高校生に至っては首・背中の骨が後ろ側へ出て姿勢が丸くなっていました。
高校生の親御さんは、お子さんの症状を見て
- 「もしかしたら起立性調節障害かも?」
- 「病院の何科に行ったら良いか分からない」
- 「また様子を見て病院に連れて行く」
と言われてましたが、調べればどこの科に行けば良いかすぐに分かります。
半年以上お子さんが不調を訴えられておられるのに、病院へ受診されていないのは他の病気も抱えておられるかも知れないので、半年以上の放置は危険だと思います。
私の中高生の頃もゲーム(ゲームボーイ・スーファミ)はありましたが、1人に1台ではなく家庭に1台という感じでした。
高校生になって携帯電話(SO502i)を買ってもらい、着メロ・6色のバックライトに盛り上がっていました。笑
電話・メール・iモード位の機能しかありませんでしたが、今は1人1台スマホを持つ時代で、動画を見たり漫画を見たりLINEをしたり、暇さえあれば必要もないのついつい触っていませんか?
また、寝る前のスマホ・ゲームのし過ぎは、本来優位になるべく身体を休ませる副交感神経の働きを抑制させ、身体を活動させる交感神経を刺激し、睡眠の妨げになり自律神経のリズムを狂わせてしまいます。
【取り敢えず1週間だけゲームを辞めることをお勧めします。】
とお伝えしたところ、
- ・小学生は、ゲーム機を没収されたが症状は改善。
- ・高校生は、1日3時間ほどのスマホ・ゲームを継続し、症状は変化なし。
でした。
- ・年齢
- ・発症時期
- ・服薬の有無
など色々な条件の違いはありますが、それも踏まえて筋肉・骨格・神経が成長段階で完全に形成されていない時期のスマホ・ゲームを歪んだ姿勢のままし続けることはお勧めしません。
小学生の場合は、ゲーム機を没収されたら何も出来なくなりますが、ある程度自由の利く高校生にもなるとスマホの没収は厳しいので、本人の「良くなりたい!」と言う意思が1番大切だと考えています。
スマホ・ゲーム・PCの使用が本質的な起立性調節障害の原因ではないかも知れませんが、身体が辛い時だけでも少し辞めて、生活習慣を見直してはどうですか?
日常生活で出来る改善方法
可能な限り規則的な生活を心がけましょう。
- ・朝は急に起きずに、頭を下げてゆっくり起きる。
- ・水分の循環を促すために、1日に1.5〜2L程度の水分補給(水・麦茶)を心がける。
- ・20分程度のウォーキングをしましょう。(第2の心臓とも呼ばれる「ふくらはぎの筋肉」を使うことで血液循環が良くなります。
- ・日光浴をするとセロトニンが活性化し夜の睡眠に繋がります
- ・起立性調節障害の子は「塩辛い物を好まない傾向」があるようなので、ご飯に塩をかけたり、味噌汁などで塩分を補給しましょう。(調子が良くなれば塩分を減らして下さい)
- ・スマホ・ゲームは必要なこと以外、寝る1時間前は触らない。(少しの辛抱です!)
効果的とされる薬と副作用
【ミドドリン】
血管を収縮させ、血圧上昇作用を促して低血圧を改善します。
副作用:頭痛・吐き気・腹痛・発疹・鳥肌・かゆみ・蕁麻疹などがあります。
【アメジニウム】
交感神経機能を亢進し、血圧を上昇させます。
副作用:発疹・湿疹・蕁麻疹・動悸・不整脈・ほてり感・めまい・立ちくらみ・頭痛・吐き気・嘔吐などがあります。
整体を受けて起立性調節障害が改善した例
整体で起立性調節障害は改善しない??
日本小児心身医学会のHPでは、以下の報告があります。
最近、インターネット上で、整骨や整体などの代替療法が起立性調節障害に効果があると宣伝するウエブサイトが急増している。ODの本質的な病態は起立や坐位における、循環動態、および脳循環や脳代謝機能の異常である。日本小児心身医学会は医学中央雑誌等による過去の文献検索を行ったところ、現時点(2018年5月)で、整骨や整体などの代替療法がODの本質的病態を改善するとした科学的根拠(エビデンス)はなかった。すなわち、これらの代替療法について的確な研究デザインによって明確なエビデンスのある研究報告がこれまでに存在しないからである。
本学会は、本年1月に、ODに対する各種サプリメントの無効性について警鐘を鳴らしたところであるが、上記の代替療法についても同様の注意が必要である。患者団体から懸念の声が多数寄せられているため、ここに再度、警鐘を鳴らす。 ODに対するエビデンスのある治療については、本学会編 小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン、および専門医向け小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン2011を参考にされたい。なお、当学会では、ODワーキンググループにおいて今後もODに対する効果的な治療について検討する。 |
エビデンスがないだけで、整体で起立性調節障害が改善しないと言う訳ではありません。
まだまだ症例が少ないのが現状です。。
当院での改善例
以前に来られた中学1年性(女性)の例で、幸いなことに早い段階で施術効果が出ました。
- *症状が軽い・重い
- *患っておられた期間の長短
- *薬の服用
によって効果の現れには個人差があります。
当院の整体では、
- ・血流を促進し、凝り固まった筋肉を緩める
- ・姿勢を調整する
- ・内臓・頭蓋骨の調整
を行います。
「必ず治る!」という保証は出来ませんので、予めご理解下さい。
今までの経験として、
- ・お子様の不調に早期に気づくこと
- ・病院に行って検査をする
- ・血圧を調整する薬などを服用している
の方が改善が早い傾向です。
昔の私は薬の服用・塗布は副作用のことで否定的でしたが、「歯が猛烈に痛い時・アトピー性皮膚炎で身体中がボロボロだった経験」を経て、良くなれば辞めることを前提に酷い症状が一時でも改善されるのであれば服用しても良いのではないか?と思うようになりました。
薬の服用で、お子さんの辛い症状が緩和されるのであれば勧めています。
最後に
子どもはストレスに敏感であり、鈍感でもあります。
些細な言葉で傷ついたり、自分が感じてる辛さが「ストレス」だと理解出来ずに、その解消法が分からずに1人で悩み苦しんだりします。特に思春期は。。
ですので、親や家族・周囲が「早く起きなさい!・怠けてるだけでしょ?」と行動だけ見るのは止めて下さい。上からではなく、同じ目線で物事を一緒に考えてサポートして、起立性調節障害を理解することが解決の糸口になると信じています。
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